男性因子
不妊の30~40%は男性側に問題があると言われています。精液検査で正常・異常を判定するのに広く用いられるWHOの基準は以下のようなものです。
精液量 | 2.0ml以上 |
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精液濃度 | 1mlの中に2000万匹以上 |
高速前進運動精子 | 25%以上 |
高速+緩徐前進精子の合計 | 50%以上 |
形の悪い精子 | 70%未満 |
しかし実際には精液検査の成績は検査する度にばらつきが大きいことや、運動率の計算も不正確になりがちで精子の評価は難しいのが実状です。いつも非常に良い、あるいは非常に悪いという場合は評価は正確ですが、グレーゾーンの男性は繰り返し検査をおこなうことが必要です。いろいろな薬物療法がありますが実際には効果はわずかです。精索静脈瘤のケースでは手術により若干の精子所見改善が得られます。軽度の男性因子では人工授精(洗浄精子子宮内注入)で妊娠率向上が期待できます。中度~かなりの男性因子でも体外受精顕微法で妊娠が期待できます。射出精液にほとんど精子がいない重度男性因子でも精巣内精子が採取できれば体外受精顕微法で妊娠が期待できます。